こんにちは、orinekaです。
最近、「FIRE」が一部で流行語(?)のようになっています。「FIRE」とは一言でいうと早期リタイアのことで、

仕事を定年までなんてやってられない! 一生生きていけるだけのお金を早く集めてさっさと仕事を辞めてしまおう!
という考え方です。
私はこの考え方に賛成で、
- 仕事だけの人生に絶望している人にとって希望となる
- FIREを目指す過程でお金の知識が増え、将来お金に困る可能性を減らせる
といったメリットがあるため、目指す価値は十分あると思っています。
ただ、FIREについて調べていくと一つ引っかかった点がありました。それは、
「FIREを達成した人の中には、生きがいを失ってしまった人がいる」
ということです。
- 仕事を辞めたことで人とのつながりがなくなって孤独になってしまった
- 生きる目標を見失ってしまった
このようなことを言っている方がおられました。
そこで今回は、どうすれば同じ失敗をせずに済むのか、FIREを目指す上で持っておきたい心得について私なりの考えを解説していきます。
この記事を読んでできること
- FIREに興味があるけれど後悔しないか不安な方が、ありがちな失敗を知ることで事前に心構えができる
- FIRE達成目前の方が「なぜ自分はFIREを目指してきたのか」を問い直し、自分にとって大切なものを見失わずにFIREできる
『こころの処方箋』について
本題に入る前に、私が考えをめぐらせるに当たって参考にした本について。この本の著者は臨床心理学者兼カウンセラーの河合隼雄氏。
日本の心理学の草分け的存在で、訪れた人に模型を配置してもらいその意味を考察していく「箱庭療法」という治療法を日本人に合うようにアレンジして持ち込んだ方です。心理学者であると同時にカウンセラーとしても活躍し、そこで得た見識は数々の本になって出版されています。
『こころの処方箋』が書かれたのは1998年。もう20年以上前の本ですが、今でも通じることがたくさん書かれています。ITなどはここ20年でとんでもない進歩を遂げましたが、人間の本質はそんなに急には変わらないということなのでしょう。
FIREで失敗しないための心得
早期リタイアと心理学。一見関係がなさそうですが、本の格言の中に「これは参考になる考え方だな」と思うものを見つけたので、その格言の意味するところをお話ししつつ、本題であるFIREに取り入れられる心得について見ていきましょう。
灯台に近づきすぎると難破する

その格言とは、見出しになっている「灯台に近づきすぎると難破する」です。
船が夜の航海で港を目指すとき、まずは港のそばにある灯台を目指して進みますよね? 港から距離があるときは灯台を目指して一目散に進んでも問題はありません。
でも、港がすぐそばに迫っているのにまだ灯台に進路を向けていたらどうでしょう? 船は浅瀬に乗り上げて動けなくなってしまいますよね?
河合氏は「理想の夫を演じ続けた結果疲れ果ててしまい、それまで仲が良かった妻を遠ざけるようになってしまった人」の例を挙げて、
「理想を持つことは自分の生き方の方向が定まるため悪いことではない。しかし理想はあくまで一時的な目標であって、到達点ではない。理想に近づいてきたときは慎重になって次の目標を探し、進路を変更しなければならないだろう」
といった意味のことを書いています。
FIREを達成したとき=方向転換のとき

今の話を「灯台→FIRE」に置き換えて考えてみましょう。
- FIRE前→まだ理想まで距離がある状態。FIREに向かって突き進んでOK
- FIRE達成目前→理想に接近してきた状態。次の目標を探さないと難破する
このように捉えることができます。
FIREというのはより良い人生を勝ち取るための「手段」に過ぎません。まだお金が貯まっていないうちはFIREそのものを目的に進んでも、方向性は合っているので問題ないでしょう。
しかし、段々とお金が貯まってきてFIREが目前にせまってきたときでも方向転換をせずにいると、「目的と手段を混同していた」影響がもろに出てきます。その先どの方向に進めばよいのか分からず、途方にくれることになってしまいますね。
ここから私たちが得られる教訓は、
「FIREが近づいてきたら改めて「FIREは手段の一つであり、一時的な目標に過ぎなかった」ことを再確認し、次の生きる目的(=目標)を探す」
ということでしょう。
FIRE後の目標は何にすべき?

目標を変えるべきなのはわかったけれど、じゃあ次はどんな目標にすればいいんだろう?
今度はこんな疑問がわいてきますよね? こればかりは個人の生き方に関係してくることなので「これが正解!」ということは言えないですが、失敗した人の発言からヒントを得ることはできると思います。例えば、
- 孤独になるのがつらい→会社以外にも、家族や同じ趣味を持つ人のコミュニティなどの「人と関われる場を持つ」ことを目標にする
- 生きる目的がない→「人や社会に貢献すること」を目標とし、ボランティアに参加したり人に役立つ仕事をしてみたりする
等々。目標が決まるとどんな行動をすれば良いかが具体的に分かるので迷いが少なくなりそうですね。
あ、でもその目標だけで一生行ける、とは思わないでください。「灯台の次は港の建物の明かりを目指して進もう」となっても、近づいたら減速しないと岸壁に激突して沈没しかねませんからね(笑)。
まとめ
長くなりましたが、私が本を読んで考えたことについて語らせていただきました。
- FIREは一時的に目標にするだけならかまわないけれど、ずっとそれだけでいると行き詰ってしまう
- FIREが近づいてきたら改めて「自分が生きる目的って何だろう?」と考え、新たな目標を作って方向転換することが大切
今回のポイントはこんな感じでしょうか? みなさんがFIREを目指していくうえで少しでも参考になったらうれしいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。