「石けんを使い始めたいけど、失敗したくないなぁ」
「硬度が高いと石けんが泡立ちにくいと聞いたんだけど、そもそも硬度って何なの?」
こんにちは。orinekaです。
石けんを使い始めようとするとき、誰もが突き当たる心理的な壁がありますよね。
石けんで洗濯をしたら生乾き臭がするとか、黒いズボンが白っぽくなってしまったとか、頭を洗ったらふけが出たとか・・・。そんな体験談を聞いてしまうと、最初の一歩を踏み出しづらくなってしまいます。
このブログでは、使い方のノウハウや失敗する原因を示して少しでも石けんを使う心理的なハードルを下げたいと思っているのですが、実は住んでいる場所によっても失敗しやすさが変わってきます。
そこに関わってくるのが「水の硬度」です。硬度が高い地域では石けんが使いづらく、低い地域では使いやすくなります。
今回は硬度が低い地域と高い地域両方に住んだ経験を生かして、水の硬度が石けんの使いやすさとどう関わってくるのか、実体験をもとに解説していきます。
最後に硬度が高い地域で使うときのコツもお話しするので、

ウチは硬度の高いところだから石けん使うのやーめた!
と簡単にあきらめずに最後まで見ていってください。よろしくお願いします。
[結論]
- 関東地方と九州・沖縄地方は失敗しやすいので注意が必要
- 硬度が高い地域では「炭酸塩」が入った石けんを選ぼう
硬度って何?

「硬度」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。あるいは「硬水」という言葉はどうですか。

ヨーロッパは硬水だから、旅行に行くときはお腹を壊さないように気をつけてね
なんて言われたり、聞いたりしたことがある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
硬度は「水に溶けているカルシウムやマグネシウムの量」のことです。ミネラルウォーターでお馴染みの「ミネラル」にもこの2つの物質が含まれています。
硬度が高い・低いというのは溶けているカルシウムやマグネシウムが多い・少ないの違いなんです。
硬水と軟水はそれぞれ「硬度が高い水」、「硬度が低い水」という意味です。硬水と軟水の境目ははっきりと決まっていて、1Lの水の中に120mg以上溶けているのが硬水、120mgより少ないのが軟水です。
ちなみに、日本は全国どこでも軟水です。
石けんと水の硬度の関係

石けんは硬度が高いと石けんカス(金属石けんとも言います)ができやすいという特徴があります。
石けんカスは洗濯だと服につく白い粉状のもの、皿洗いだと油のベタつきになります。
できてほしくないものだということですね。硬度が高いと石けんカスがつきやすくなって失敗の原因になりますし、逆に低ければ石けんカスはあまりできず、うまくいくことが多いです。
ですので、石けんを使いやすいのは「硬度が低い地域」ということになります。
ウチの水道の硬度は高い?
一応、日本は世界の中では硬度が低めです。ヨーロッパだと石けんの効果が消されてそもそも使えなかったりしますが、日本ではそんなことはありません。
ただ、日本のなかでも硬度が高いところと低いところがあるので、使いやすい・使いにくいの違いは出てきます。
一番気になるのは、あなたが住んでいる地域の硬度ですよね? 高いと

失敗しやすいのかぁ。石けんにしようと思ってたけど、どうしようかな?
となりそうです。(冒頭でもお話しした通り、硬度が高くてもうまく使えるコツがありますので、ご心配なく)
関東と九州・沖縄は硬度が高め
下の図は、公益社団法人 日本水道協会の水道水質データベースをもとに、日本の各地域の代表的な都市の水道の硬度を調べてまとめたものです。2018年度のデータをもとに、各都市の平均の硬度をグラフにしました。

※沖縄は那覇のデータがなかったため、代わりに名護のデータを使いました。
沖縄(名護)、東京の順に高くなっています。沖縄は異常なくらい高いですが、県内の他の都市を見ても100を超えているところが多かったので、間違いではないと思います。
また、家庭や企業向けに浄水器を販売しているクリタックという会社の調査によると、関東地方、九州地方、沖縄地方の硬度が高い(75以上が目立つ)ようです。
つまり、
関東地方、九州・沖縄地方→硬度が高く、失敗しやすい
それ以外→硬度が低く、失敗しにくい
ということです。
硬度が高いと石けんを使いづらいのはなぜ?
硬度って何? のところでも触れた通り、硬度が高い=水に溶けているカルシウムやマグネシウムが多いことを表します。石けんとこれらが反応すると石けんカスができ、つかんでいた汚れを放してしまうんです。
衣類や皿から汚れを取ったのにまた汚れがついてしまうことになり、トラブルの原因になってしまいます。
私は、今は硬度が高めの地域に住んでいますが、以前は硬度の低い地域に住んでいたことがあります。
その時と比べてみますと、同じ量の洗濯物に同じ量の石けんを使っても、今のほうが生乾き臭がするんです。おそらく洗浄力の違いで、以前の地域のほうが汚れ落ちが良く、生乾き臭の原因となる菌の数が少なかったからではないかと考えています。
この実体験からも、硬度が低いほうが石けんの能力を引き出せることがお分かりいただけると思います。
硬度が高い地域では「炭酸塩」が入った石けんを選ぼう

ここまで読んでいただいて

ウチは沖縄だから石けんは無理ですね
とか、

引っ越し先では石けんを使えないのかしら・・・
と残念に思っていらっしゃるかもしれませんね。
でも、落胆する必要はありません。手立てはあります。
それが、「炭酸塩が入っている石けんを選ぶ」ことです。
炭酸塩というのは石けんの洗浄能力を助けるはたらきをする物質のことで、「助剤」とも言います。まさに助ける成分ですね。
この成分は、汚れによって酸性に傾いた水をアルカリ性に引き戻してくれます。石けんはアルカリ性のときに一番効果を発揮するので、石けんに有利な環境を作り出してくれるわけです。
この炭酸塩(助剤)があると硬度が高くて石けんに不利な状況を挽回できるので、硬度が高い地域にお住まいの方は注意してみてください。
炭酸塩入り石けんの見分け方

注意しろと言われても、炭酸塩が入っているかどうやって見分けるの?
このような疑問が出るのはもっともです。
見分け方は、石けんの成分表示です。裏に書いてあるやつですね。
例として、3種類の洗濯石けんの成分表示を見てみましょう。上の2つは炭酸塩入り、一番下は炭酸塩なしです。
炭酸塩 | 成分 | |
ミヨシ石鹸 そよ風 | 〇 | 純石けん分(60%、脂肪酸ナトリウム)、アルカリ剤(炭酸塩)、金属イオン封鎖剤、香料 |
パックス 洗濯用石けん Wパワー | 〇 | 純石けん分(30%、脂肪酸カリウム)、アルカリ剤(炭酸塩)、固化防止剤(エチルアルコール) |
シャボン玉スノール | × | 純石けん分(30%脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム) |
〇:入っている、×:入っていない
いろいろ書いてありますが、青色でマークしたところに注目してください。ちゃんと「炭酸塩」って書いてありますよね。このように、成分表示から炭酸塩が入っているかどうかが分かります。
もっと簡単に判断したい方は、「純石けん分」以外の成分が書かれているかを確認しましょう。書かれていれば、炭酸塩入りである可能性が高いです。添加物が入っているのに、炭酸塩は入っていない商品はあまり見かけないので、このやり方でも大丈夫だと思います。
まとめ:水の硬度と石けん
今回は水の硬度と石けんの使いやすさの関係について解説しました。
重要なのは、
- 関東地方と九州・沖縄地方は失敗しやすいので注意が必要
- 硬度が高い地域では「炭酸塩」が入った石けんを選ぼう
の2点です。石けん選びの際は参考にしてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。